旅に出た気になれる!旅の本3選

本来であれば、カメラをもって旅に出たい季節ですが、今年はなかなか遠出できる状況ではありません。そこで今日は、家にいながら旅の雰囲気を楽しめるおすすめの本を3作品紹介してみたいと思います。


深夜特急(沢木耕太郎)

旅がもし本当に人生に似ているものなら、旅には旅の生涯というものがあるのかもしれない。人の一生に幼年期があり、少年期があり、青年期があり、壮年期があり、老年期があるように、長い旅にもそれに似た移り変わりがあるのかもしれない。

すでに古典の域に入っていると思われる、日本のバックパッカーに大きな影響を与えたバイブル的な本です。

著者である沢木耕太郎さんが26歳のときに、香港からロンドンまで乗り合いバスや鉄道を使い陸路でユーラシア大陸を横断した旅の記録です。

当時はまだバックパッカー的な旅行が日本には定着していなかったので、ゲストハウスやドミトリーなどの安宿に長期滞在しながら、気の向くまま旅するスタイルがとても新鮮でした。

この深夜特急は大沢たかおさん主演でドラマ化されたり、沢木さんが歩いたコースをテレビ番組の電波少年で猿岩石が旅したことで更に人気が高まり、いっきに日本にバックパッカーが定着するきっかけになりました。

私は、学生のころに旅好きの友達から薦められたのがきっかけで、この本にのめり込み、気が付いたら自分もバックパックを担いで海外を一人旅するようになっていました。

海外旅行の経験がほとんどないのに、気が付いたら一人でネパールの空港に着いてしまった時の興奮を思い出すとこの本の影響力を改めて感じます。

少し昔の本ですが、今読み返しても全く色褪せることなく、旅が好きなすべての方におすすめできる名著だと思います。最後このような言葉で結ばれています。

「もし、この本を読んで旅に出たくなった人がいたら、そう、私も友情をもってささやかな挨拶を送りたい。恐れずに。しかし、気をつけて。」


ドナウの旅人(宮本 輝)

「賢すぎる女も、それに愚かすぎる女も、人生を劇のように生きられないわ。でも劇のない人生に真のしあわせなんかありませんよ。そして劇は偶然に訪れたりしないわ。さあ、そろそろ準備をなさい。忘れ物はない?」

宮本輝さんの小説で、昭和63年に発行された古い本ですが、僕は2019年に初めて読みました。笑

内容は、主人公の麻沙子、麻沙子の恋人でドイツ人のシギィ、麻沙子の母親の絹子、絹子の愛人の長瀬という奇妙な組み合わせの4人が、様々な成り行きから一緒にドナウ川に沿って 西ドイツからルーマニアさいはての地スリナまで3,000km、7か国にまたがる旅をする物語になっています。

4人が旅を通じて、それぞれ抱えていた人生の課題に向き合いながら、さまざまな人たちとの出会いを通じて成長していく物語で、途中からは長瀬を追う尾田という謎の人物も現れてサスペンス的な要素も入ってくるので、小説として純粋に面白いです。

旅の過程でヨーロッパの様々な名所が登場しますので、ネットで写真や地図を確認しながら旅で通過する国に興味を持ちながら小説を読みました。

主人公たちが旅で出会う人たちがそれぞれ魅力的で、人生を考えさせる印象的なセリフが随所に出てきます。

旅を通じて、主人公たちが成長していく過程がとても魅力な小説だと思っています。


The Songlines(竹沢うるま)

大地と交わり、その一部となり、そして星になったすべての旅人たちに、この本を捧げたい。願わくば、そこにこの星が奏でる歌声がありますように。この本は、僕の物語であり、彼らの物語である。

古い作品を2冊紹介しましたが、3冊目は2015年に出版された竹沢うるまさんの「The Songlines」です。

この本は、写真家の竹沢うるまさんの1021日、103カ国に渡る旅行記で、タイトルの「ソングラインズ」とは、オーストラリア先住民のアボリジニの人々が歌う、歌の道とのことです。

この本がすごいと思うところは、深夜特急をルーツに持つ王道の旅行記的な要素も強いのですが、読み進めていくと旅との向かい合い方がこれまでの旅行記とまったく違います。

通常の旅行者ではなかなか行けないアマゾン川の奥地などにも足を踏み入れ、シャーマンの儀式を受け、精神世界まで探求する旅のスタイルに大きな衝撃を受けました。

ペルーのサンフランシスコ村でのシャーマンによる儀式では、アワヤスカという木のつるを煮込んだ飲み物を胃に流し込み、すべての物を吐き出し、瞑そうした中にコンドルが現れます。そしてシャーマンは言います。

「恐れる必要はない。大切なのは、すべてを受け入れることだ。」

これまで僕の考えていた旅の認識を大きく変えた本で、バックパッカーの新たなバイブルだと思っています。


また、いつか旅にでたい。

このブログを書き始めたころは、旅の記録や風景写真を掲載したかったのですが、想定外のコロナ渦で旅どころではない日が続いています。

なのでしばらくは、もう一つの趣味でもある本の紹介やレビューなどもこのブログで書いていこうと思っています。

海外に行けるようになるにはもうしばらく時間がかかりそうですが、またいつか旅に出れることを祈りながら、しばらくは本の旅を楽しみたいと思います。

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